前回、データを使って行う政策立案手順の1回目を書きました。
http://okagon.hatenablog.com/entry/2018/03/31/152347
3つのCで、現状のデータ分析をしたあと、さらに絞り込んでいくわけですが、まずその中の一つである「分解」。
以下のデータはすべてダミーです。
市場の分析から、観光入込客の推移を見てみると、2016年から減少しています。
この段階で「減っているから何とかしてくれ」と言われ、手を打ってはいけません。
課題の絞り込みが重要です。
ここで、観光客を分解してみます。
分解するときには、「時間」「地域」「人口統計」「行動」「心理」の軸で切ってみるとやりやすいです。ここでは2つずつ分けていますが、本来いくつに分解してもかまいません。ただし、表の「目的地別」を見てもらうと「温泉」「食事」となっています。これはいけない例です。分解するときは「漏れなくダブりなく」が原則。温泉、食事以外にかなり漏れがあります。
ここでは、宿泊別で分けてみます。
すると、観光客が減っているのではなく、正確には宿泊客が減っていて、日帰りは増えていることがわかります。
これだけでも、かなりデータによって、課題が絞り込まれた感覚が得られるのではないでしょうか。
ただし!
分析は自分の意見を述べないといけません。
上のグラフを見て、宿泊客が減っていることに着目するか、日帰りが延びていることに着目するのかの判断は担当者次第です。
私は宿泊客が減っていることをさらに分析してみます。
宿泊客を増やせる要因は何でしょうか。。。
先ほどの分解カテゴリーやロジックツリーなどを利用して考えます。
仮に観光施設の多さが、宿泊の増加に繋がると考えると、要因の観光施設の多さを横軸にとります。
この手法で、他自治体と比較してみると、観光施設の多さが、宿泊客の多さに繋がっていると分析できます。
ここまでくると、打ち手が見えてくるので、地域の資源を活かすことを考えたり、広域でコンテンツを増やしたり、ということが考えられると思います。
縦軸を人口あたりでとっているのは、自治体間の差をならすためです。市民一人あたりの観光客数、もっと言えば消費額が高いことが、費用対効果も大きく、本当に市民の収入になっています。
他の比較、代替などは、また何かの機会に。ワークショップ形式でやると、いろんな分解アイデアなどが出て面白いのでぜひやってみてください。
因果推論と言って、原因と結果をきちんと立証する方法があり、相関ではエビデンスとは言えない、と言われていますが、現場職員が実務を行うにあたっては、難しい手法より、まずはデータで政策立案するという姿勢が普及することが大事だと思いますし、実際に入手しやすいデータを今回のように活用していくのが効率的です。
といいつつも、自分の専門性を高めるために計量経済学をコツコツ勉強してます。