博士&MBA地方公務員の日々挑戦

(学問上)経営学をマスターした行政マンが、どれだけ地域政策に役立てるか、その実践をゆるくつづります

糸島市の産学官連携ビジネスモデルpart2〜九州大学・富士通編〜

以前のブログで、九州大学の出向時にビジネスモデルを考えることで実現した仕事の1つとして、ヘルスケアLABOをご紹介しました。

 

今回、もう1つ。

九州大学マス・フォア・インダストリ研究所富士通ソーシャル数理共同研究部門、糸島市富士通研究所での連携を作ったときの手法を。

 

まずAI定住マッチングですが、これは人間の好みを徐々に学習して成長するAIを用いた、地方都市への移住希望者と移住候補地を適切にマッチングするためのシステムです。

 

移住相談が増加している糸島では、移住希望者が移住先を検討する際に、地域に密着した情報が得られにくいことから、移住後の満足度が低下するケースがみられていました。

 

そこで、AIに移住希望者の好みを学習させ、AIがピックアップした移住候補地の行事や雰囲気を伝える情報を提供。その地域の評価を繰り返して、移住希望者と移住先のマッチングを支援するという、世界初のシステムです。

http://m.japan.cnet.com/story/35087952/

 

九州大学には企業が出資し、学内に部門を作って、専属の教授や准教授たちを雇用する制度があります。そこに富士通研究所が部門を作り、九大の1機関として研究をしていました。

 

彼らは「数学を使って社会課題を解決する」という面白いことをやっていましたが、何しろその社会問題を見つけ、かつ、協力してくれる自治体が必要です。

 

そこに九州大学に出向していた私が糸島市の橋渡し役へ。この場合、はじめから企業は研究費を負担し、かつ大学の一機関として富士通が入っていましたので、自治体がフィールドを提供し、富士通部門が動きやすい体制をつくってあげることで、winwinモデルが見えていました。

外からお金を引っ張るという前提が出来ているので、あとはそれをどう回すか、お金の対価に、情報や人をグルグル回せばいいのですから。

 

すぐに三者の会議を開き、まず糸島市の担当課に地域課題をとにかく挙げてもらうことを開始。それを富士通研究所に見てもらい、新技術とのマッチングができないかの繰り返しから今回のモデルが生まれました。

 

糸島市は移住者や区長さんたちにインタビューのアポを入れたり、保有するデータを提供したり、富士通は研究費と技術、九州大学は研究、技術を提供し合うという関係です。

 

移住者の心理を数学モデル、簡単に言うと方程式で表すような仕組みです。人工知能ですから、システムを使えば使うほど、知能が上がり、より精度なマッチングが可能になります。「私は子育てに最適な自然環境と交通利便性が一番で、買い物する店は少し離れてもいいな」と打ち込んだり、音声認識させると、それに対して「あなたにぴったりの場所は、ここですよ」と人と会話しているような案内をしてくれるので、ホントに驚きです。

 

産学官連携モデルを作ることを考えましたが、とにかく新しいことをどんどんチャレンジした方がいいです。

なぜなら、「現実維持は長い目で見ると衰退」しています。周囲がよくなるので、相対的に自分の地位が落ちていくからです。

 

自治体間で廃れていくところは、

地方創生では出産する女性人口のデータに基づいていますが、実際は、現状維持しかできず、投資ができないところです。