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MBA地方公務員、日本最高の市役所マンへ!

(学問上)経営学をマスターした行政マンが、どれだけ地域政策に役立てるか、その実践をゆるくつづります

データがないなら代替する!

データで政策提案するとき、実務ではデータ不足に必ずと言っていいほどぶち当たります。毎回そのためにデータを取ったり、購入することは困難です。

 

そんな中、自分が気づいたのは、

 

代替できそうな指標

 

を考えると、先に進めます。

 

研究者でもないし、証明することが目的でもなく、政策効果の確率をあげるために、推定していけばよいと思っています。

実務上でのリアルevidenced based policy makingをしないといけないと思います。

 

糸島は、クラフト作家が多く、工房・ギャラリーが多いのが特徴です。この分野が発展していることを確かめたいですが、工房の件数データはありません。なので、代替できる指標として、工房、ギャラリーの観光入込客数を見ます。
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工房体験、お土産購入で、糸島市の工房、ギャラリーの観光客はデータがあります。

これを見れば、この分野が発展途上と言えます。件数ではなく、観光客数に代替しただけで、結局言いたいことは一緒です。

 

さらに売上額のデータなどなかなか手に入りませんが、工房は体験か、お土産として購入されることを考えると、糸島市観光客の平均お土産消費額で、3000円/人・日*104,000人/年=3億1,200万円/年

と、売上ではないですが、観光消費額として、経済ベースの計算もできます。

どんどん代替します。

 

データを見るとき、全体像を見てから、ミクロにいきます。そうしないと、これから出てくる数量、金額などが、どれほどのインパクトの大きさがわからないからです。

 

さらに、ミクロに進めていくとき、ベンチマークが大事です。

誰でも使える地域経済分析システムRESAS(リーサス)には、産業別の付加価値額と県内、全国順位を一発で出してくれる機能があります。

クラフトでは出てきませんので、また代替できそうな業種を探します。

陶芸、工芸等の年間付加価値額として、窯業、木製品、家具などの指標があるため、全部調べてみると、以下の表のとおりです。

平成24年度のまだ工房ギャラリーが伸びる前のデータが上表ですが、窯業のところは砕石業などが加わるため、付加価値額が大きいです。また木製品、家具はそれぞれ、1900万円、6500万円です。

先ほどマクロで消費額が3億円と出していたので、窯業のところが2億円もあって、砕石などがあることが感覚的にわかり、ほかの業種も稼ぎ具合がなんとなくわかります。

これは、最初に全体像を見ていたから、わかることです。
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さらに、下表で観光客が伸びた時点のデータがリーサスには、まだ収録されてなく、いまを知りたいのに困ります。

ここも工夫で乗り切ります。観光客の伸び率で、付加価値額を推計してみました。この額を使って、リーサスで同程度の付加価値額をもつ自治体の順位を調べれば、現在のベンチマークができ、どのくらい伸びているのか捉えることができます。

自治体名をベンチマークすることで、「この伸び率で、このくらいの付加価値額になると、全国レベルの●●市くらいになるのか~」といったこともわかるので目標もたてることにも使えますね。

 単純には言えませんが、全国上位30%くらいにはいるのではないでしょうか。

 

目標の視点から言うと、クラフトだけで捉えれば、ここを伸ばしてあげることで、全国10%以内も達成できそうです。


次にどこの人たちに工房、ギャラリーを知ってもらった方がよいでしょうか。


これも、こんな都合のいい統計があればいいですが、ないので代替します。

結局、好きなら、お金を使ってるはずだと考え、家計調査を使います。世帯あたりの年間支出額がわかるので、家計調査にある洋服、靴、家具などにお金をかける人たちはおしゃれで、クラフト、インテリア、雑貨も買う可能性が高いと考えます。

まったく的外れではいけませんが、「ある程度近いもの」で、代替していくことで、少しでも政策の効果を高めることにつながると思います。

以前、ビジネススクールで「データは自分でとらないといけない」と言っている卒業生がいましたが、私はそうは思いません。できるだけ、少ない労力、経費で最大の効果をあげることが仕事の大原則だと思うからです。

自分で集める場合は、課題を絞り込んだ最後のとどめ、絶対必要でもうアンケートしかない、などだと考えています。

したがって、世帯あたりの被服、靴や家具にかけるお金が多い地域を家計調査から調べると、以下のグラフのようになります。福岡市は消費額が高く、特に家具、インテリア系はなおさら。また、関西より関東の方が、オシャレ用品に消費する傾向があると想定されます。f:id:okagon:20170410125832j:image

このときのグラフの作り方のポイントがあります。

家具だけ、洋服・靴だけの棒グラフを作る人が多いのではないでしょうか。

数個(ここではエリア)のデータから傾向を出したいときは、ポジションを見る散布図です。そのために、1つの軸では足りず、家具、洋服・靴の2軸を選ぶことで、傾向をつかめることが散布図からわかると思います。

グラフから、おしゃれ傾向が、関東と関西では異なると説明できます。また、福岡がどのような位置にあるかもわかります。

 

ここから、クラフトは糸島の強み。しかも福岡はオシャレ度が高い! 関西より関東が攻めどころ!?

といった方針を決め、

■糸島の作家、工房の製品を使ったデザインコンペを開催することで、おしゃれ福岡で

 デザイナー募集も集客もしやすい。

■決勝戦や広告は、福岡での実績を関西より関東へ情報発信した方が効果が高い。

など、代替データですが、政策案を形づくることができます。

 

データがなければ、勘以外に何もできませんが、代替データでも、目的に近いものを使うことで、「なぜクラフトを伸ばすのか」「福岡でのコンペ開催がよいのか」「関東にプロモーションするのか」、きちんと自分の根拠を説明できます。

 

さらに、デザインコンペなどを実施している事例の効果をデータで示すことで、さらに政策効果を訴えることもできるでしょうし、その先進地に視察に行くときも、政策案を類似事例で検証しにいくという視察目的もはっきりし、結果、政策精度もあがるでしょう。

 

ということで、実務上でデータ収集に躓いたら、代替データを探すことをお勧めします。