博士&MBA地方公務員の日々挑戦

(学問上)経営学をマスターした行政マンが、どれだけ地域政策に役立てるか、その実践をゆるくつづります

データ分析事例、地方創生の方法はまちまち

東京から帰ってきて、ずっと体調が優れず、とうとう昨日お休みをもらって床に伏せておりました。

今日はバリバリ出勤します。周りはインフルエンザも多く、寒いので気をつけないと。ブログを見てくださっている皆さんもお体には十分ご自愛ください。いつも、ありがとうございますm(__)m

それにしても、blogの読者になってくださった皆さんのを見ると、レイアウトがきれいで、すごい見やすい。

僕は生まれつき色弱で、色がわからず、他の人と違って見えるため、美術や理科の実験が嫌いでした。それから、デザイン系は疎遠になり、仕事でも、ここは得意な人に任せようと割りきってます。最近「デザイン勉強しましょうよ!」と言われたばっかりだったので、ちょっと皆さんのも見て、寂しくも、羨ましいです。

 

っと、、、なんかタイトルと脱線してしまいました。

さて、データ分析の事例を紹介してみようかと思いますが、最後は事業に落とし込まないと意味がありません。

分析結果を踏まえて、さらにどう課題を絞り込んでいくか、戦略を立てていくか、一回では無理ですが、ゆっくりそのプロセスを伝えることができたらと思います。

そのプロセスには、難しい統計学の手法は必要ありません。市民の皆さんにわかりやすく作るほうが、はるかに大事です。

 

今回は「比較」「分解」を紹介。まずは簡単な統計です。下のグラフは糸島市の従業員1人あたりの卸売・小売業年間商品販売額(糸島市統計白書より)です。 

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これを見ると、糸島市は2,300万円/人です。でもこれだけは多いのか、少ないのかわかりません。そこでデータ見るときの手法の一つが「比較する」です。

ベンチマークといって、自分が周りに対してどのくらいに位置しているかをチェックします。これは福岡都市圏の17市町と比較していますが、下から2番目、平均よりもかなり低いですね。自治体の規模(人口)に関係せず、福岡市の東側に隣接する自治体が大きいことがわかります。

比較するだけで色々見えてきます。

 

本番のコンテストでは、もちろん糸島市を分析しましたが、どこでもできるということをお話したいので、あえて別の自治体を分析してみます。

 

福岡市周辺の人がこのグラフを見ると誰しも疑問に思うのが、新宮町、久山町、粕屋町はたくさん事業所が立地しているので納得だが、「なぜ篠栗町が福岡市にこれだけの差をつけるほど高いのか?」です。

このとき、みんな勘で色々答えます^^

バイパス沿いのお店が多いのかな?」「何か大きい企業があるかな?」と、この考えてもらう過程が楽しく、大事ですね。

 

しかし!

 

ここでリーサスを使うと簡単に解析可能。

これは卸売・小売業のデータなので産業マップの「稼ぐ力分析」をします。

 

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ちょっと見にくくてすいません。やはり、こういうデザイン系、IT加工系は苦手なのです。

でもグラフを見ると、一目瞭然ですね。飲食料品小売業だけが付加価値額が高い。これは全国平均が1ですので、実にその25倍も稼いでいます。

そして、これで「飲食料」の小売事業所が原因だったとわかります。

しかも、人口3万人の篠栗町に、全国の25倍、福岡市の2倍もの食料品小売業がたくさん集積しているはずがありません。

ここで大きな事業所が存在している、それも相当大きな、、、と判断できます。

あとは、篠栗町で一番大きな事業所を調べるだけなので、割と簡単に見つかるでしょう。

 

リーサスを使いましたが、この手法には「分解する」という大事なデータの取扱い方が含まれています。リーサスなしでこの結果を導くのは大変ですが、もしなかったとしたら、何を調べようと思うでしょうか。

この場合は、篠栗町の卸売・小売業の年間販売額というだけでは何も見えないので、中身を見るために事業種別で販売額を分解したいと考えるのです。

 

次に、分解に重要なことは、その軸を決めること。

これは目的に沿う要因を軸に選ぶことになります。今回は篠栗町の卸・小売で儲かっているところを探したいのですが、卸・小売といっても、スーパー、家電店、ホームセンターなどたくさんあります。事業種別に分解すると、事業分野ごとの特徴を調べることができるということになります。そこをリーサスが簡単にビッグデータを使って助けてくれます。

 

分解するときのコツのもう一つにMECE(ミーシー)がありますが、僕の以前の投稿に書いてますので、ご参照ください。

行政マンってデータ分析が苦手です

 

ちなみに、

協賛企業賞をいただいた帝国データバンクの方に「自治体用のリーサス使ってますか?」と尋ねられました。

実は自治体職員には特別のデータが見れるリーサス機能があります。

その一つに、地域の中核企業を探すための機能がついていて、飲食料品小売業で篠栗町の企業の売上順位を調べることができます。

それを使うと、すぐわかりました。企業?ではありませんでしたが、篠栗町には皆さん誰でも知っている、ある大きな組織があります。しかも2つもありました。

 

ここから、さらに分析を進め戦略を立てないといけません。

篠栗町の場合は1事業所に依存しており、市税として還元されたり、雇用が生まれている分、その事業者が移転したり、なくなると大変なことになります。

そのため、他の零細な事業所や他分野の産業を育てるなどの戦略を立てる必要があると思います。そのきっかけとして、すでに存在してるこの中核企業と組んでやれることから考え出すのがいいかもしれません。

 

篠栗町に行けば、篠栗町にあった戦略があり、自治体ごとに特色ある地方創生の方法が変わります。

  

「他自治体の分析せんで(しないで)、糸島のことやれ」と同僚に言われそうですが、1つ前のブログに書いたように、データの使い方を知ってもらうという使命感も少し出てきました。

 

しかしながら、こういった分析を私だけでなく、他の職員もやってもらえると、さらにいい政策提案が増えるかなぁ~と願う今日この頃です。

 

今日は哀川翔に激似のむちゃくちゃ愛情あふれる課長(51)と隣の席でいつも見守ってくれる先輩(39)に祝勝会をしてもらう日。他にも入庁当時から憧れる先輩(43)、いつも優しい先輩(41)が来てくれる飲み会、楽しみです。